グローバルなオンライン決済サービスのプラットフォームおよびテクノロジーリーダーであるペイパル(PayPal Pte. Ltd. 本社:シンガポール、東京支店 日本事業統括責任者:ピーター・ケネバン、以下「ペイパル」)は、世界の13の市場(日本、中国、香港、シンガポール、インド、オーストラリア、米国、英国、フランス、ドイツ、ロシア、メキシコ、ブラジル)で実施したグローバル調査「2021年ペイパル海外通販レポート」(PayPal 2021 Borderless Commerce Report)を発表しました。
【世界13の市場における調査結果】
2020年は新型コロナウイルス感染症の世界的な拡大によってEコマース業界も多大な影響を受けています。2020年のEコマースによる売上高は、前年の3兆3,500億米ドルから4兆2,800億米ドルに急増しました[i]。この増加金額を日本円に換算すると100兆円を超え、その額は米国の市場規模に匹敵します。
また、2021年には世界のEコマースはさらに14.3%増加、4兆8,900億米ドルへと成長することが予想されます[ii]。中でも、7億1,000万人以上のオンラインショッピング利用者を抱える中国が増加を牽引するものと考えられます[iii]。以下、本調査から導き出された3つのグローバルトレンドをご紹介します。
1. オンラインショッピング利用者の行動変化
2020年のEコマースの売上は約28%も上昇しました1。米国では、10年分の成長予測がわずか90日間で実現[iv]、メキシコを筆頭に、新型コロナウイルス感染症の拡大前はEコマースの普及率が低かった国でもオンラインショッピングへの移行が大幅に進みました[v]。外出ができない状況においてオンラインショッピングの利用が増え、購入金額も増加しています。また、今回調査した 13の市場すべてにおいて「今後もオンラインショッピングを利用したい」と回答した人は「利用を控えたい」と回答した人の2倍以上になっています5。
2. 新たな決済方法が中心に
BNPL(Buy Now, Pay Later = 後払い)やデジタルウォレットなど、より多様なデジタル決済を使いたいと考えていることが分かりました5。2020年は暗号通貨(仮想通貨)も注目を集めました。ビットコインの所有率は国によって大きく異なります。発展途上国ではその割合が非常に高くなっており、例えば、イギリスでは暗号資産の推定保有率は5%ですが、ナイジェリアでは30%を超えています[vi]。
3. オンラインショッピングの増加に伴うオンライン詐欺への懸念
新しい決済手段としてデジタル決済の利用が進む一方で、特に日本やメキシコなどの現金重視の市場では、データのプライバシーやオンライン詐欺に対する警戒心が高まっていることがわかりました5。海外通販を利用する人は、決済方法を選択する際の一番の決め手は「セキュリティ」であると考えており、次いで「決済スピードの速さ」、「利用可能な決済方法」と続いています5。
世界全体における調査結果のハイライト
- 今回の調査対象となった13の市場全体の22%が、新型コロナウイルスの感染拡大後に、より安心して海外通販が利用できるようになったと回答5。また、56%がコロナ禍におけるオンラインショッピングの利用が増加したと回答している5。
- オンラインショッピング利用者は、依然としてクレジットカードを好んで使用し、次いでペイパル、デビットカードを利用。海外通販に関しては、13の市場の大半でペイパルが好んで選択された。また、いずれの決済方法であっても「どこからでも安全に買い物ができること」(31%)、「買い手保護制度があること」(29%)が求められている5。
- 13の市場すべてにおいて、オンラインショッピングで利用する端末のトップはスマートフォン(43%)であり、次いでノートパソコン(26%)。特に発展途上の市場ではオンラインショッピング利用者の半数以上がスマートフォンを好んで使用しており、中国では84%にも上る5。また、2021年には、世界のオンラインショッピングの67%がスマートフォンで購入されると予測されている1。
- デジタルウォレットでは、これまで普及が進んでいなかった市場において顕著に利用が促進。日本では、オンラインショッピングの利用者は、従来はクレジットカード、次いで現金(銀行振込)を利用していたが[vii]、日本におけるデジタルウォレットの普及率は2019年から2023年の間に倍増すると予測されている[viii]。
- オンラインショッピング利用者の85%が、今後のオンラインショッピングにおける購入金額は「現状維持」または「増加する予定」と回答。また、利用者の26%が、2021年ならびに2022年中に「海外のサイトでオンラインショッピングを始める、またはもっと利用したい」と回答している5。なお、「希望する支払方法が利用できない場合は購入を断念する可能性が高い」と回答した利用者は40%に上る5。
【日本の調査結果】
日本は世界有数のEコマース市場でありながら、小売業全体におけるオンラインショッピングは比較的小規模にとどまっています。しかし、新型コロナウイルス感染症の拡大により状況は変わり、日本の消費者のオンラインショッピング利用意向は20%も上昇しています[ix]。以下、本調査から導き出された日本における4つのトレンドをご紹介します。
1. 自宅からのオンラインショッピングが主流に
Eコマース市場は、金額ベースでは世界第4位ですが、日本の小売業全体に占める割合はわずか13%です[x]。これまで日本では、商品を実際に見て購入したいという傾向がありEコマース普及の大きな障壁となっていましたが、外出が制限されるコロナ禍において自宅からオンラインショッピングをする人が増えました。日本では、オンラインショッピングのほとんどのカテゴリーにおいて10〜20%成長したと推定され、さらに消費者は新型コロナウイルス感染症の収束後もオンラインショッピングを継続する意向を示しています9。
2. キャッシュレス化の波
2025年までには日本のキャッシュレス決済率は40%になると予想されています[xi]。日本では、新型コロナウイルス感染症の拡大以前はクレジットカードを中心とした決済方法が好まれていましたが、最近は他のデジタル決済の利用も増加しています。政府が今後5年間でキャッシュレス決済の比率を高めるという目標を掲げていることも、成長の後押しになると考えられます11。デジタルウォレットの普及は、5Gの普及によってさらに促進される可能性があります。5Gによって、決済時のスピードや、ライブ配信によるソーシャルショッピングの促進など、多くのオンラインショッピング体験におけるサービスのスピードが向上します。
3. より安い価格を求めて海外通販を利用
44%が、「より安い価格を求めて海外通販を利用している」と回答5しています。日本の消費者は、価格、配送時間、送料、返品費用を比較し、トラブルの際には売り手と直接連絡をとることができるか、などのポイントを検討します。海外通販を手掛ける事業者は、より安い価格、現地では手に入らない商品の品揃え、あるいは「日本国内と同じレベル」のショッピング体験を提供することが重要です。
4. 根強い贈り物文化
10%の成長が見込まれています9。日本のお歳暮市場は、ビジネス上のギフト交換が減少したため10%減少しましたが、2020年には新たな習慣として「帰歳暮」(帰省とお歳暮をかけた造語で、帰省の代わりに会えない人へと送る贈り物)など、さまざまな機会に気軽に贈るギフトが増加し、市場全体が成長すると予想されています[xii]。
「2021年ペイパル海外通販レポート」の調査結果全文は、こちらにてご覧いただけます。世界の主要マーケットにおける文化や季節イベントなどの理解を深めることで、各市場の消費者へ効果的にアプローチすることが可能となります。
[ii] Insider Intelligence/eMarketer、Global Ecommerce Update 2021、2021年1月13日、第三者機関による調査、小売業界、政府による調査、eコマースの販売データ、関連する消費者動向など、764の情報源から得られた19,840のデータポイントを分析した結果に基づく予測。
[iv] McKinsey Quarterly: Five Fifty、Q2 2020: The Quickening、データ提供:Bank of America、Forrester Analytics、ShawSpring Research、US Department of Commerce、McKinsey analysis
[v] ペイパルの委託によって行ったIpsos MORI PayPal Cross-border Insights 2021。n=13,000、13市場。2020年12月~2021年2月に成人(過去3か月間にオンラインで購入したことがある18歳以上)を対象としたオンライン調査。