オーソリゼーションの承認率改善によるショッピング体験の向上
2022年 7月15日

ジム・マガッツ(Jim Magats) ペイパル オムニペイメント担当シニア・バイス・プレジデント

 

消費者は便利でスムーズな体験をますます好むようになり、こうしたニーズによって、Eコマースの可能性は大きく広がっています。

とりわけ中小企業は、このニーズの高まりに応えるために、デジタルに軸足を移し、オンラインショップを開設しています。Wordplay FISの「Global Payment Report 2021」[1]によると、新型コロナウイルス感染症の世界的な感染拡大(パンデミック)による需要増の影響で、インドのEコマース産業は2024年までに84%成長し、1,110億米ドル規模になると予測されています。また、シンガポールでも、2026年末[2]までにEコマースの売上が100億ドルに達すると見込まれています。

「2021年ペイパル 中小企業によるEコマース活用実態調査」[3]によると、同国の48%の中小企業がパンデミックの間に実店舗からオンラインショップに移行したと回答しており、中小企業もこの波に乗っていることが明らかになっています。香港でも同様に、パンデミック期間中の2020年に、Eコマース市場が大きく成長し、今後も拡大が予想されます。香港のEコマース市場は、モバイルでの購入が主流で、2024年には41%増の290億米ドルに成長すると予測されています[4]。日本では、ほとんどの分野でオンライン販売が10〜20%の伸びを示し、消費者はパンデミックが収まった後もオンラインショッピングを継続する意向を示しています[5]

EC

競争が激化しているオンライン市場において、中小企業は他のECプラットフォームと同様に、カスタマージャーニーの改善に優先的に取り組む必要があるでしょう。消費者を自社の顧客にするためには、洗練されたウェブサイトやマーケティングキャンペーンに限らず、全ての面で優れたユーザー体験を提供することが重要になります。企業は、ウェブサイトでの閲覧から決済まで優れたエンドツーエンドのユーザー体験を実現することで、顧客をより高い確率でつなぎ留めることができます。一方、購入の最終段階でのかご落ちが非常に多くの企業を悩ませていることも事実です。特にアジア太平洋地域では、かご落ち率が73.2%と世界平均より高くなっています[6]。原因としては、消費者が望む決済方法が選択肢にないことや、決済取引に失敗することなどが挙げられます。私の経験では、決済の失敗がオンライン販売の主な障害になっていると考えています。

 

問題把握

信頼できる事業者として認知されるためには、決済フローでのエラーをなくすことが大切です。決済方法の選択肢を増やすことは、解決策の一つですが、収益損失を避けるためには、エラーが起きた取引に適切に対処する必要があります。

オンラインビジネスで満足のいく結果を得るには、ボトムラインに焦点を当て、エンドツーエンドの決済エコシステムを洗練させながら、ユーザー体験を優先的に改善することが重要になります。オーソリ(オーソリゼーション)の承認率向上は、コンバージョン率の改善へと繋がり、決済プロセスを簡素化する上で不可欠です。

多くの中小企業では、取引の不成立や支払い拒否などは、オンラインビジネスの一部と受け入れられているものの、こうした取引の一つひとつに対処する必要があります。結局のところ、オーソリ承認率の向上はビジネスの改善につながり、最終的には収益の増加をもたらすのです。

問題を徹底的に分析した後、事業者が決済プロセスを調整し、顧客維持率を向上するにはどのような戦略がとれるか、以下で紹介します。

※コンバージョン率とは、オーソリの承認プロセスが正常に行われ、決済が完了した取引の割合を意味します。
 

原因分析

オーソリの承認率の低さが明らかになったら、次は、取引が失敗した理由を理解することが重要です。取引失敗の背景には、不正の疑いがある、残高不足、カード情報が古いなど、様々な理由が考えられます。

近年、オンラインショッピングや企業のオンライン販売の増加に伴い、詐欺師やサイバー犯罪者は顧客の個人情報を盗むために次から次へと新しい手法を生み出しています。そのため事業者は、悪質または不正な決済を承認しないよう注意しなければなりません。例えば、高級品や体験を扱うスモールビジネスでは、顧客がクレジットカードの限度額を超えて決済してしまったり、加盟店が不正利用を警戒していることから、承認に失敗するケースが多くなっています。

こうした取引失敗の原因を把握することで、事業者は解決策を講じることができます。

EC

簡単かつ効率的な取引

決済の効率を高め、優れたエンドツーエンドのユーザー体験を提供するためのカギは、優れた決済パートナーと組むことです。そうしたパートナーと提携することで、承認率を改善できるだけでなく、ユーザーのカード使用動向を分析し、潜在的な課題を特定することで、不正行為を監視することができます。また、機械学習や人工知能(AI)など最新の技術を用いて、取引の正当性をより効率的に判断し、不正取引を減らすことができます。

さらに、ネットワークのトークナイゼーションのような安全な取引方法を採用することで、オーソリの承認率を高め、スムーズな顧客体験を提供することもできます。トークナイゼーションとは、各カード番号ごとに固有のクレデンシャルを作成し、取引を行う技術です。トークナイゼーションは、不正利用に対して、顧客のクレデンシャルをより強固なものとし、セキュリティを向上することができるため、事業者にとってブランドの認知度と信頼性を高めるものとなります。

デジタルウォレットの導入も取引の失敗を減らす方法の一つです。香港では、2025年までにデジタルウォレットがクレジットカードを抜いて最も人気のあるオンライン決済手段となり、オンライン取引額全体の40%を占めると予測されています[1]。日本では、5Gの普及背景に、デジタルウォレットが2023年までに最も成長率の高い決済手段になると見込まれています。デジタルウォレットは、お客様が最初に選択した決済手段での取引が成立しなかった場合に役立ちます。こうしたツールにより、事業者は不成立取引の根本原因を理解し、ソリューション主導のアプローチを取りながら、プロセスを合理化することができます。

ビジネス拡大を目指す事業者にとって、ウェブサイトの強化や商品の多様化は重要ですが、バックエンドの強化も疎かにできません。決済において優れたユーザー体験を提供することも大切な一方、優れたパートナーとの提携についても検討する必要があります。重要なのは、顧客との信頼関係を築きながら、オーソリの承認率を高め、最終的に収益の拡大につなげることなのです。

 

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