PayPal
PayPal Pte. Ltd. 東京支店 ヘッドオブエンタープライズセールス 大津陽子氏
広告代理店プランナーを経て2006年グーグルジャパンに入社し、日本を代表する企業のマーケティングのデジタル化を推進。その後、外資系旅行メディア企業でデジタル広告チームの立ち上げを担当し、日本のインバウンドの活性化を支援。前職ではアマゾンジャパンでアフィリエイトプログラムによるパートナー開拓などを担う。京都大学大学院で社会学修士号を取得。2021年7月より現職。
新型コロナウイルスを契機に世界のEC市場は大きく発展した。ネットショッピングがより身近になったことで多くの事業者がマーケットに参入し、この傾向は2022年も続くとみられる。特に日本では越境ECに取り組む事業者が急増したが、それを支えているのがアメリカに本社を置くオンライン決済サービス大手「ペイパル」だ。柔軟な決済オプションや安全性が世界で4億を超えるユーザーに支持され、今やECビジネスの成功に欠かせないソリューションと言っても過言ではない。今回はペイパルの東京支店で新規営業チームを率いる大津陽子氏にペイパルの特長を伺いながら、ECのグローバルトレンドや日本の事業者がECビジネスで成功するためのポイントなどについて話を聞いた。
ポテンシャルが高い日本のEC市場
─コロナ禍で私たちの生活や社会は大きく変化しました。御社では現在のグローバルトレンドをどのように捉えていますか。
パンデミックにより世界のEC市場は大きく伸長しました。当社の海外通販レポート(https://newsroom.jp.paypal-corp.com/2021-06-28-2021-borderless-commerce-report)によると、2020年の世界のEC売上げは前年比27.8%増の約4兆2800億米ドル。日本円に換算すると1年間で100兆円増加した計算で、この額はアメリカ一国のEC市場規模に相当します。2021年はさらに14.3%の増加が見込まれ、売上げも4兆8900億米ドルへと成長することが予想されます。こうした中、私どものビジネスについて言えば、デジタル決済が単に「便利な機能」から「欠かせないサービス」へと進化したと感じています。
──日本のEC市場についてはいかがでしょうか。
日本のEC市場は、金額ベースで世界第4位の大きなマーケットです。ただし、小売業全体に占めるオンラインショッピングの割合は13%ほど。まだ伸びしろは大きいと言えます。また、キャッシュレス化が急速に進んでいるのも特徴的で、2025年までに日本のキャッシュレス決済率は40%になると言われています。
──2022年以降も国内ECやキャッシュレス決済の成長は続くと思われますか。
マーケットサイズと利便性を考えれば、まだまだ成長の余地はあると思います。コロナ禍で高齢者層がデジタルに触れるようになったことも成長を後押しするはずです。そもそも高齢者とECは相性の良い分野。物理的に体を動かさなくても買い物ができるメリットは大きいですよね。今後ECやキャッシュレスは高齢者にとって欠かせないものになってくるので、我々もより便利で使いやすいサービスを提供していく必要があると考えています。
──市場環境が大きく変動する中、御社は日本市場への投資を活発化させています。これにはどのような狙いがあるのでしょうか。
日本市場はポテンシャルが非常に高く、ペイパルでは日本を戦略的に“最重要マーケット”の一つと位置付けています。その表れとして、今年4月に日本事業の統括責任者が新たに就任しました。さらに9月には業界をリードするあと払い(BNPL)サービス「ペイディ」を提供している株式会社Paidyを3000億円で買収しましたが、これも日本国内で決済の機能やサービスを拡充し、消費者が快適で安全なオンラインショッピングをできる環境を提供するためです。
「金融サービスの民主化」を目指して
──御社は日本を重要なマーケットと位置付けていらっしゃいますが、改めてペイパル社の概要や日本でのビジネス展開について教えてください。
ペイパル社は1998年にアメリカ・カリフォルニア州で設立された決済サービスの会社で、20年以上にわたりオンライン決済のリーディングカンパニーとして業界をけん引してきました。日本には10年ほど前に進出しています。『金融サービスの民主化』を使命に、誰でも簡単で便利に、そして安全に使える決済サービスの提供を目指して活動しています。
──日本のEC業界はプレイヤーの数が多く、事業規模もさまざまです。成長が続く業界とはいえ、課題を抱えている事業者は少なくありません。決済サービスの面からみて、日本の通販事業者がビジネスで成功するためのポイントはどこにあるとお考えですか。
ポイントは3つあります。まずは、顧客の幅広いニーズに対応できるように、事業者が柔軟な決済オプションを提供すること。次に安全性。EC市場の広がりに伴いサイバー攻撃が増えているので売り手、買い手の双方にとって安全安心な取引を担保することが求められます。
最後は越境ECへの対応です。最近当社が実施した調査(https://newsroom.jp.paypal-corp.com/2021-12-09-SMB-Survey)では、日本の中小企業の45%が越境ECにすでに取り組んでいるか、または計画していると回答しています。すでに越境ECに取り組んでいると回答した28%の事業者のうち、約5分の2はこのコロナ禍に参入しており、新型コロナウイルス感染症のパンデミックが越境ECの拡大に大きく影響したことがわかっています。
──ペイパルでは具体的にどのようなメリットを事業者に提供できるのでしょうか。
ペイパルとは、オンライン上で利用者がクレジットカードや銀行口座などの様々な支払い方法を利用して決済を安全に行える“アカウント決済”サービスです。エクスプレスチェックアウトという機能では、利用者が好みの支払い方法をペイパルに登録しておけば、次にペイパルを利用する際にログインや支払い方法の選択を入力する必要がなく、承認作業だけで決済を完了できる仕組みです。
スムーズな決済は結果としてカゴ落ちなどのリスクを減らし、コンバージョン率を向上させます。支払いが完了すると、ペイパルのアカウントに即時に入金されるので、小規模事業者やスタートアップ企業の皆さんは資金繰りの不安を軽減できます。また、機械学習による不正検知・防止対策や買い手・売り手保護制度など、事業者と顧客が安心して利用できる高いセキュリティも備えています。
ペイパルは現在、世界200以上の国と地域で利用でき、100通貨以上(日本のペイパルアカウントで保有できるのは20通貨以上)に対応しています。世界に4億人以上のユーザーがいることを考えても、アカウント決済のグローバルスタンダードとして越境ECを含めECビジネスを成長させる上で最適な決済手段です。
安全なアカウント決済で4億人にリーチ
――ペイパルを利用したことで売上を大きく伸ばしたり、新規顧客獲得につながったりした成功事例はありますか。
イラストコミュニケーションサービス「pixiv」を運営するピクシブ株式会社様は、ペイパルの導入後1年半で月間の売上が4倍に拡大しました。これまで決済手段の少なさが利用者層を狭めていましたが、ペイパルの導入で決済手段の選択肢が増え、多様な顧客のニーズに対応できるようになったということです。クレジットカードを持っていない、または使うことに抵抗を感じるユーザーにもアプローチできた点も大きかったようです。
――多様な決済手段の提供が顧客の間口を広げたのですね。
そうですね。それと、コンビニ決済のように注文から支払までにタイムラグやキャンセルがある決済手段と違い、ペイパルでは支払が即時に行われ注文状況の確定を待つ必要が無いため、出荷作業や在庫管理の負担が大幅に軽減したと聞いています。海外ユーザーのペイパル利用率も30%に増え、新規顧客獲得に貢献することもできました。
――海外の新規ユーザーを取り込めたのは素晴らしいですね。
越境ECに取り組むにあたり、今後ペイパルの導入はスタンダードになるのではないでしょうか。日本の人口がどんどん減っていく中、世界に市場を切り開かなければならないという危機感は事業者の皆さんがお持ちのはずです。
ペイパルは事業者も利用者もリアルタイムに安全な取引ができる決済サービスです。なにより世界で3300万の加盟店を含む4億人以上のユーザーに選ばれているという実績があるので、越境ECへの挑戦をお考えの際にはぜひペイパルの導入をご検討ください。
――日本のEC業界に対して今後ペイパルはどのようなサービスを展開していくのか、ブランディングを含めた計画や目標があれば教えてください。
私たちは「ツーサイドネットワーク」と呼んでいますが、消費者と事業者双方の利便性向上のために努めて参ります。実装に関する補助やマーケティングのサポートなど、様々な方法で事業者の方々の成長に貢献できるよう考えていますので、新しい市場を開拓していくうえでペイパルをパートナーとして選んでいただけると嬉しく思います。
ペイパル ビジネス向けページ
問い合わせ先:tokyo-sales-info-paypal@paypal.com
※記事・画像ともにECのミカタ提供