ストーリーズ

デジタルで社会課題と向き合い、価値を生み出す「PayPalテクノロジーチャレンジ」

コロナ禍などの影響で、組織や事業のデジタル化は一気に進み、社会は大きく変わりつつある。DX(Digital Transformation)が、一層意識されるようになっている。

こうしたデジタルの活用は民間のみならず、国や地方自治体、さらには社会課題と向き合うソーシャルセクターでも進みつつある。複雑化が進み、変化が激しい社会の中で、デジタルの活用は、さまざまな社会課題の解決や、持続的な成長など、いま地球規模で求められている問題と向き合う際に不可欠ということは言うまでもない。

ただし、NPOやソーシャルセクターの中には、そうしたデジタルを活用しきれていないケースが少なくない。そこで、ペイパルでは、今年2月、社会課題・地域課題に取り組む実践者向けのオープンセミナー「デジタルを活用した社会変革の可能性~PayPal Community Impact Grants Program」を開催した。(NPO法人ETIC主催)

PayPalテクノロジーチャレンジ

ペイパルでは、地域社会に貢献することを目的に、世界中でNPO団体に助成を行っている「ペイパル コミュニティ・インパクト・プログラム」がある。2021年の実績では、ペイパルの拠点がある22ヵ国の40オフィスが中心となり、77のNPO団体に、合計で約1.6億円の拠出を行っている。

ペイパルは「金融の民主化」をミッションとし、「あらゆる人が等しく享受できる包摂的な経済を実現する」ことに取り組んでいる。ペイパルが目指すのは、経済状況、人種、性差に関わりなく、誰もが当たり前の金融サービスを利用できるような社会を実現すること。これを可能にするために、FinTech技術を活用した製品やサービスを提供することのほかに、ペイパルがオフィスを持つ地域で、資金を拠出したり、従業員が関わりを持つことで、コミュニティへの貢献し、ミッションの達成に励んでいる。

これに伴い、日本では、今年3月から3ヵ月間にわたって、ペイパル東京支店の社員有志、およびこのオープンセミナーに参加された社会課題・地域課題の実際の解決に取り組む団体を対象に、デジタルを導入したい、活用したいといったニーズに応える実践型プログラム「PayPalテクノジーチャレンジ」を実施した。

複雑な社会課題をデジタル化で解決。DXは、どんな価値を提供できるか

セミナーに登壇した立命館大学客員研究員であり、Shared Digital Center代表取締役などの肩書きを持つ金 辰泰(きむ・じんて)さんが、デジタル化によって、どんな社会変革が起こせるかをプレゼンテーションした。金さんは、ソーシャルセクターにおいてデジタルが果たせる可能性を、①経営のデジタル化、②デジタルプラットフォームのすゝめ、③デジタルの効き目という3つに大別し、それぞれについて解説した。

まず、ソーシャルセクターにおいては、煩雑な業務を人手に頼っているケースが珍しくない。日本のNPO法人の約6割は代表者が65歳以上と言われ、こうした点もデジタル化の進展が遅れた理由としてあげられた。ただし、金さんが実施したとあるNPO法人での調査では、業務の8割は外注し5割は自動化しうる結果が出たという。そのため、ソーシャルセクター全体で業務を集約しデジタル化する事業をShared Digital Centerで取り組まれている。そこでは、例えば経理業務を外出しし、RPA(Robotic Process Automation)といった業務自動化ソフトで効率化するだけでなく、経営ダッシュボードを導入しキャッシュフロー経営といった経営自体の高度化にも取り組まれている。ビジネスセクターでは、大企業においてシェアードサービスセンターと呼ばれる仕組みを通じて業務の集約化やデジタル化が進んできたが、団体規模が小さいソーシャルセクターでも、経営を効率的にデジタル化する仕組みが必要と説く。

また、ある社会課題と別の課題をデジタルプラットフォームで結ぶことで、新しい価値創出に繋がる可能性が紹介された。たとえば、認定NPO法人「TABLE FOR TWO」は、先進国で肥満や生活習慣病をかかえる人々の食生活改善に向けたヘルシーメニューを提供し、その収益で新興国の飢餓で苦しむ子供達に給食を繋ぐ。先進国側で収益を捻出し、新興国側は経済負担なしに課題解決に取り組めるという新たな経済合理性こそが、持続可能性を生んでいる。複雑な社会課題の関係を紐解き、新たな経済合理性を繋ぐことが、持続可能な経済価値・社会価値の双方を生むSX(Sustainability Transformation)に繋がる可能性が高いことを、金さんは強調した。

このほか、DXの本質は、単なるデジタル化(digitization)でも、業務の自動化(digitalization)でもなく、提供価値の発展であると金さんは捉える。そして、デジタル化はどの技術を使うかではなく、どのような新たな価値を受益者に提供できるか、という視点が大切であることを訴えた。

PayPalテクノロジーチャレンジ

左/金さんが、あるNPOの本部機能を約2万時間分析した結果。約80%の業務は外注が可能で、約50%は機械化(≒自動化)できる可能性が示唆。人海戦術に頼るソーシャルセクターでは示唆に富む調査。右/「TABLE FOR TWO」が行っている活動の紹介。課題と課題を結ぶことで、新たな経済合理性が生まれ、新たな持続可能性が生まれる。

 

「金融の民主化」によって社会的弱者の不利、無駄を解決

その後、ペイパル日本事業統括責任者のピーター・ケネバンが、ペイパルが掲げる「金融の民主化」というミッションなどについて紹介した。

金融商品では、低所得者ほど、それへのアクセスにコストがかかる傾向がある。そこでペイパルではFinTechを活用し、そういった不利、無駄、アクセス権がない人でもアクセス権が得られるようなサービスを提供している。これが「金融の民主化」の一例だ。この民主化、多様化、普遍化によって、人々の生活の負担を減らし、人生を楽にして、世の中を良くしていきたい、ということを会社の大きな目標に掲げている。

具体例としては、個人間の送金サービス「venmo(ヴェンモ)」がある。日本では馴染みがないが、米国では送金することをvenmoする(venmoing)という動詞があるほど普及している。とくにミレニアル世代などで日常的に使われているサービスだ。

また、国を跨がった送金サービスとして「xoom(ズーム)」がある。国際間の送金は、とても高い手数料の負担を強いられることがある。とくに移民などが、母国の家族に送金をする際、100ドルのうち、8〜10ドルの手数料を支払っていることが珍しくないとか。これをxoomのウォレット間で行うと、2ドル以下に抑えられる。

このようにデジタルプラットフォームを活用した金融の効率化により、実際にお金を必要とする人に、お金が残るように、いろんなサービスを提供しようとしている。

PayPalテクノロジーチャレンジ

左/ペイパルCEOのダン・シューマンは、「金融を民主化する。いままでの金融が見捨ててきた層へのサービスを充実させる」など、同社は社会的弱者に寄り添うビジネスをしている旨の発言を行っている。右/世界160ヵ国以上に迅速かつ安全に送金できる「XOOM」など、ペイパルはプロダクトやサービスを通じて、包摂的な経済の実現を目指している。

 

ペイパルは、こうしたプロダクトやサービスを通じて社会の変革を促しているほか、PayPal Giving Fundなどのプログラムを通じて顧客の社会貢献を支援している。

今回の「PayPalテクノジーチャレンジ」も、地域社会への貢献の一環である。ピーター・ケネバンは、こうした活動による経験値の蓄積や社外との関係構築を通じて、社会における持続可能なインパクトを最大化できるように取り組んでいきたいと語った。

PayPalテクノロジーチャレンジ

ペイパルが2021年に取り組んだソーシャル・イノベーションの事例。全社員の80%が6万5000時間以上のボランティアを行い、370万ドルを寄付するなど、従業員が自発的に社会課題に取り組む事例が少なくない。

 

続きはこちら

「PayPal テクノロジーチャレンジ」の参加団体が得た社会変革の可能性とは?

 

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